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  澤田好宏 l マーケティングの新しい視点



マーケティングの新しい視点


 人類は、地球は、ひょっとして初めて遭遇する時代を通過しているのかもしれません。

 まだ文明というものがなかった黎明の時代。山に入って食べ物を手に入れていた時代。狩猟に長けた人は獣を狩り、木になる果物や草を見つけるひとはそれを集め、川で魚を取る人は手で捕まえる。その地で採れたものをその地で食べる。これほどうまいことはありません。 しかし文明という大きな時の流れは、採れた地点と食べる地点をどんどん離していきました。産業革命はそれに拍車をかけました。大量に生産される場所と大量に消費される場所は、はるかに長い距離になってしまいました。

 その長い距離をスムーズに流れるようにするために生まれた知恵がマーケティングでした。しかし生産地から消費地への一方通行のノウハウだけでは多様化する生活の問題を解決出来なくなってきました。

 マーケティングとは本来製品や価値を創造し交換するプロセスから生まれたノウハウだったはずです。しかし、日本の産業界においてはアメリカンスタイルパワーマーケティングを直輸入し、単純理解してしまったために、メーカーエゴ、プロダクトオリエンテッド、消費者不在の企業活動のノウハウになってしまいました。結果いまだに変わることなく4つのPやシェアのこだわるパワーマーケティングが信奉されています。

  いかに効率よく大量の商品を均一につくり、大量に販売し、そして売れ残りを出さないために、購買者を研究するというメーカー・マーケティングが今も主流を占めています。つまり「製造側の発想」です。メイク・アンド・セル。企業にとって何が作れるか、何を作るか、製造コストにいくらかけるか、そして購買者にいくらで売るか。最初にメーカー有りきです。川上発想です。

  従来のマーケティングでなく、ほんとうに生活者の視点にたった新しいノウハウの必要性を痛感しています。消費者を単なる購買者・標的(ターゲット)として見るのでなく、ひとり一人の暖かい血がかよっている生活者としてとらえ、従来のマーケティング手法では対応できない環境変化の中で、新たなる価値の創造や今までの既成概念ではない生活者基点を背景に全く新しいビジネスノウハウを模索していかなければならないと思います。
MCEI SCOPE VOL.118 掲載(2003年8月)



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